「女性の健康」で生産性アップ!女性の視点を取り入れた健康経営

「女性の健康」で生産性アップ!女性の視点を取り入れた健康経営

「女性の健康」で生産性アップ!女性の視点を取り入れた健康経営

女性の社会進出が進み、日本の労働力人口総数のうち女性の割合は43.7%を占め、年々増加傾向にある今、女性の健康への配慮は必要不可欠です。では、企業は、働く女性に対してどのようなサポートができるでしょうか?本コラムでは、健康経営の視点から、企業が出来る取り組みを一緒に考えていきましょう。

※出展:厚生労働省「平成29年版働く女性の実情」

健康経営には女性の目線が必須?

婦人科系疾患を抱えて働く女性の年間経済損失額「合計6.37兆円」

参照元:日本医療政策機構「働く女性の健康増進調査2016」

調査によると、働く女性の約6割が女性特有の健康課題で悩んでいることがわかり、それによる企業の経済的損失額は6.37兆円にものぼると試算されています。

※出展:日本医療政策機構「働く女性の健康増進調査2016」

女性の健康課題に対する企業の現状

これまでの日本は、メタボ対策やがん、循環器疾患、糖尿病など、男性向けの健康管理を中心とした対策が多く、女性特有の健康課題に対する社会的支援は十分ではありませんでした。近年ようやく、企業の健康対策の関心が女性の健康増進へも向きつつあるものの、制度が十分に活用されていなかったり、本人が必要とするサポートではなかったりと、取り組みはまだまだ整っていないのが現状です。

働く女性が抱える健康課題

女性特有の健康課題は、下記のような繊細な内容が数多くあります。

  • 月経関連の症状や疾病
  • PMS(月経前症候群)
  • 妊娠、出産に関する症状や疾病
  • 不妊、妊活
  • 更年期障害
  • 乳がん、子宮頸がんなど女性に多いがん

特に男性の多い企業では、女性特有の症状について、「理解が難しい」「どのようにサポートしたら良いか分からない」「的確にアドバイスできない」といった声を耳にします。しかし、重要な働き手となる女性の健康を、企業側が正しく理解し、積極的なサポート体制を設けることは、企業戦略においても重要といえるでしょう。

企業は何から取り組めばいいの?

女性従業員が必要としている企業側からのサポート

実際に必要とされている女性特有のサポートとしては、以下の回答が挙がっています。

  • 業務分担や適切な人員配置
  • 医療機関の受診、治療のための休暇制度と柔軟な勤務形態
  • 社内のコミュニケーション
  • 総務部や人事部のサポート

※出展:経済産業省「『働く女性の健康推進』に関する実態調査」

女性従業員は、企業からのサポートを必要としており、中には自身の健康課題によって働きたい意思はあるものの退職を考えている女性もいることが分かりました。では、企業は、どのようなポイントをおさえて健康経営に取り組むと良いのでしょうか?

女性従業員の健康サポートにおいておさえるべきポイント

1.企業としての理解

冒頭でも述べましたが、女性の社会進出が増加している今、男女両方に目を向けた「健康経営」を考える必要があります。

まずは、役職や性別問わず、社内全体で女性の健康に関する研修に参加するなど、理解を深める積極的な取り組みが必要です。継続的な研修を通して、健康課題に関心を持ち、理解を深めることで、リテラシー向上に繋がるとともに、お互いの健康課題に配慮した接し方を学ぶことができるでしょう。

2.女性自身のヘルスリテラシー向上

女性自身が、自身の健康状態が企業の業績に影響を与えることを理解し、改めて自身の健康管理に目を向け、健康的な身体づくりに向けた対策をすることも大切です。例えば、月経の症状は女性の中でも個人差があり、妊娠・出産期間の体調変化も人によって様々です。

自身の経験論だけで判断するのではなく、健康課題はひとりひとり異なる、ということを理解することも必要です。

3.社内コミュニケーションを活性化させる

社内のコミュニケーションを活性化させて、男女ともに話しやすい風通しの良い職場環境をつくることも大切です。それぞれが仕事やライフスタイル、健康などの充実に対して何を求めているのか、お互いに理解し、支え合うことで、心理的な負担も減り、休暇制度などの支援も前向きに活用しやすくなります。

コミュニケーションの活性化には、レクリエーションやサークル活動などの方法もありますが、「福利厚生」を充実させる企業も増えています。

オフィスでの栄養補給を、手軽に健康的に、取り入れることができるサービス「オフィスdeビオ」は、お仕事の合間に、栄養価の高い食品をつまみながらちょっと一息つくことで、従業員同士のコミュニケーション活性化にもご活用いただけます。

健康経営導入に向けて、従業員の活発なコミュニケーションと健康づくり、両側面からのサポートに是非お役立てください。

具体的な事例のご紹介

健康経営に向けた具体的な施策

健康経営に向けた施策としては、大きく下記に分類されます。

1.「ライフイベント」に向けた施策

産前産後・不妊治療のための休暇制度、育児休業前後の研修・面談、キャリア支援など

2.「女性の健康支援」に向けた施策

受診・治療のための休暇制度、柔軟な勤務形態、婦人科検診費用の補助、相談窓口(産業医やカウンセラー)の設置など

休暇を取得しやすい環境を整えるとともに、心身の不調や出産育児との両立、キャリアアップへの不安をひとりで抱え込まないよう、企業が積極的に呼びかけることも重要です。

他社の施策事例のご紹介

他社で実際に行われている支援や施策の事例をご紹介します。「具体的にどんな施策を行えば良いか分からない…」という方は、ぜひ、様々な企業の事例を参考にしてみてもよいでしょう。

・NTTドコモ

女性のヘルスリテラシー向上のため、女性若手職員とその上司を対象に、女性の健康とライフステージを考える「健康セミナー」を開催

・花王

女性の健康に関する「相談窓口を開設」し、女性従業員が産業医にメールで気軽に相談できるシステムを構築

・日本航空

一部の不妊治療受診に際し、一定期間休職できる「不妊治療休職支援」を実施

※出展::経済産業省ヘルスケア産業課「健康経営における女性の健康の取り組みについて」

まとめ

女性が、主体的にライフプランを選択できる幅を増やし、長期的に充実した働き方を実現するためにも、健康課題への取り組みは重要な要素のひとつです。企業が戦略的に女性の健康づくりに取り組むメリットは、女性従業員の定着化やキャリアアップにも繋り、企業の生産性が向上する効果も望めます。

その結果、全従業員が働きやすいオフィス環境が整うことも期待できます。

健康経営導入に向けて、しっかりした対策を行わなければならない、と構えてしまい、かえってハードルが高くなり具体策に行き詰まってしまう方もいらっしゃると思います。しかし、まずは現状を把握するとともに、「ちょっとしたこと」から始めてみてはいかがでしょうか?

<参照元>
厚生労働省「平成29年版働く女性の実情」
日本医療政策機構「働く女性の健康増進調査2016」
日本医療政策機構「働く女性の健康増進調査2018」
経済産業省「『働く女性の健康推進』に関する実態調査」
経済産業省ヘルスケア産業課「健康経営における女性の健康の取り組みについて」