健康経営・働き方とは?分かりやすく説明します!

健康経営・働き方とは?分かりやすく説明します!

健康経営で働き方改革!?成功事例のご紹介!

現在、慢性的な人材不足が経営課題として顕在化しつつあります。この状況を打破しようと、政府が「働き方改革」を打ち出したことも記憶に新しいですね。今や企業は、優秀な人材を確保するために、従業員の働きやすさ、多様な人材が長期的に働くことのできる組織づくりに向き合っていくことが必要不可欠です。

このような状況に伴い、年々注目が高まっている健康経営。いざ健康経営を導入しようとしているものの、「具体的に何から始めればいいのか分からない…」「実際にどれくらいの効果があるのか…」という不安や疑問を抱えている企業の担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか?

本コラムでは、このような疑問を解決するために、実際に取り組んでいる他社の事例を取り上げながら、健康経営について考えていきます。

働き方改革と健康経営の関係性

働き方改革とは

「働き方改革」とは、日本企業が抱える課題である労働生産性向上を実現するための施策です。 首相官邸ホームページには、「一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ」と記載されています。

出典:首相官邸ホームページ「働き方改革の実現 」

健康経営とは

「健康経営」とは、企業が従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。従業員への健康投資を行うことは、従業員の活力や生産性向上等、組織の活性化をもたらし、結果的に業績や企業イメージの向上に繋がると期待されています。

働き方改革が目指すもの

首相官邸が発表したロードマップによると、「働き方改革」を推進する目的は下記の3つとされています。

  • 賃金等の処遇の改善
  • 時間、場所等の制約の改善
  • キャリアの構築

働き手の視点で言い換えると、下記のニーズがあると考えられます。

  • 仕事に対する意欲や能力に応じて適正な評価を得たい
  • 残業せずにワークライフバランスをもって働きたい
  • 育児や介護、通院と仕事を両立しながら柔軟に働きたい
  • キャリアアップのために効果的な教育を受けたい

これらのニーズを満たすにはどうすればよいか?

企業がこの視点を持って健康経営を推進することは、同時に働き方改革にも繋がることは明らかです。働き方改革と健康経営を別々に切り離して考えるのではなく、双方をバランスよく推進することで、従業員の健康維持や生産性向上、そして健全な企業経営に大きな効果を発揮します。

働き方改革と健康経営のメリット

健康経営や働き方改革の推進は、従業員の健康維持・増進に繋がるだけでなく、企業にとっても以下のメリットがあります。

生産性の向上

従業員が心身ともに健康な状態で仕事に取り組めることで、従業員ひとりひとりが本来持っている能力を最大限発揮できるため、必然的に企業全体の生産性が向上します。また、出社している従業員が心身の不調により業務の能率が落ちている状態「プレゼンティーイズム」を未然に防ぐことは、企業が負担している健康関連コストの削減にも効果的です。

定着率の向上

働きやすい職場環境を整えることは、健康絵経営に対する企業の前向きな姿勢が従業員に分かりやすく伝わります。その結果、従業員満足度が向上し、結果的に会社への貢献意欲が高まり、離職率の低下に繋がるという好循環が生まれます。

企業価値の向上

健康経営に積極的に取り組み、組織の活性化が進むと、結果的に業績や企業イメージの向上に繋がると期待されています。また、経済産業省が定める基準を満たす「健康経営優良法人」として認定されると、魅力的な企業として見える化されるため、社会の信用も高まり、株式市場でも高評価獲得に繋がりやすくなります。

優秀な人材の確保

経済産業省の調査では、就活生が企業に望む勤務条件として、「従業員の健康や働き方への配慮」に対する回答率も高まっていることが分かっています。つまり、健康経営による企業イメージの向上は、優秀な人材の確保にも直結しているといえます。

出典:首相経済産業省「企業の「健康経営」ガイドブック」

出典:経済産業省「健康経営優良法人認定制度」

何からやればいいの?

では、健康経営導入にあたり、何をどう進めていけばよいのでしょうか?しっかりと先を見通すためにも、まずは段階を追ってやるべきことを明確にしていくことが大切です。下記、3つのステップに沿って進めていきましょう。

1.現状把握

まず最初の1歩として、自社の現状を把握することです。健康管理を進めるために、従業員の健康診断やストレスチェックの受診を推奨します。就業規則に記載されているルールがしっかりと遵守されているのかも調査してみましょう。

2.課題の洗い出し

次は、把握した現状の内容を分析することです。従業員の健康状態や労働状況、休暇取得が適正に行われているか、様々な視点で課題を洗い出します。

3.改善に向けた対策検討

自社の抱える課題が明らかになったら、その課題をどのように解決していくか、取り組み内容を具体的に計画していきます。まずは、その取り組みを進めるための担当者やルール決め等、体制を整えるところから始めるとスムーズに進行するでしょう。そして、従業員に向けて、健康経営を実施する旨を告知します。書類配布や研修を行い、関係者に健康経営の取り組みやその目的をしっかりと理解してもらうことが重要になります。

出典:厚生労働省「ストレスチェック制度導入マニュアル」

他社の成功事例

それでは、実際に健康経営を取り入れ、効果を感じている企業をみていきましょう。

【若手社員のアイデア8割採用】ユーザックシステム株式会社

社内環境改善をテーマとし、若手社員が経営陣に対してアイデア提案を行う月1回のミーティングを設定。その提案の採用率はなんと8割。常務が橋渡しに入り経験値を共有しながら、企画・議論・運用まで若手に任せることで、スキルアップの機会をつくっています。

主な効果

  • 若手社員のモチベーションが高まり、「ずっとこの会社で働きたい」という声が多数挙がる
  • 若手とベテランのコミュニケーション機会の創出
  • 何事にも当事者意識を持って議論する社風の醸成

【残業チケット制の導入】株式会社ピコナ

残業をする際は、社長決裁の残業申請チケットを発行するという「残業チケット制」を導入。ユニークな発想で職場環境の改善に取り組んでいます。

主な効果

  • 常態化していた時間外労働を80%削減
  • プライベートの時間ができたことで社内部活動が立ち上がり、従業員間のコミュニケーションが活発化

【短時間の健康教育機会提供】株式会社ベネフィット・ワン

従業員や管理職に対し、年間6回以上の健康教育機会を提供。1回あたりの受講時間は20分と短く、忙しい従業員にも少ない負担で継続的に受講してもらえる仕組みを整えています。

主な効果

  • 従業員一人あたりの平均残業時間は前年比-37.9%と減少(2018年度上期)
  • 売上が前年比143%と大幅増加(2017年度)
  • 離職者数が減少し、定着率が上昇

企業も従業員も共にいきいきする組織づくりを目指し、様々な企業の導入事例などを参考にしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

健康経営や働き方改革を取り入れることは、企業にとっても従業員にとっても、大きなメリットがあることが分かりました。また、この取り組みは、働き手の減少が進む日本において、従業員ひとりひとりの生産性を高めるだけでなく、優秀な人材を確保し、定着率を上げるためにも非常に効果的です。健康経営を難しく考えすぎず、まずは自社の現状に目を向けるところから、初めの一歩を踏み出してみませんか?