健康経営オフィスとは? 経営者ができる7つのこと

健康経営オフィスとは? 経営者ができる7つのこと

2020年度、日本では、生産年齢人口(15~64歳)の割合が年々減少し、全体の6割を切っています。 限られた労働力と限られた時間で、ひとりひとりの業務効率と生産性を向上させていくために、企業はどのようなことができるでしょうか。 本コラムでは、健康経営の視点から、オフィス環境改善策を考えていきます。

参照:総務省:我が国の労働力人口における課題

従業員の健康が企業に及ぼす影響

生産性低下に繋がる従業員の心身不調

生産性低下に繋がる従業員の心身不調 「肩が凝って辛い」「花粉症でつらい」「睡眠不足で眠い」、このように体調の優れない中で無理して出勤し、仕事のパフォーマンスが上がらない… 実は、これらの症状こそ、「プレゼンティーイズム」といわれ、企業の損失の大きな要因として注目されています。 プレゼンティーイズムとは、従業員が職場に出勤してはいるものの、心身の不調により業務の能率が落ちている状態のことで、WHO(世界保険機関)によって提唱されている概念です。

企業の最大のコスト要因「プレゼンティーイズム」

東京大学政策ビジョン研究センター健康経営研究ユニット「健康経営評価指標の策定・活用事業成果報告書」の<健康関連総コストの内訳(3組織3,429件)>によると、プレゼンティーイズムは、健康関連コストの77.9%を占め、企業の大きなコスト要因となっています。これは、医療費の約5倍の数値であることが分かります。

そしてこのプレゼンティーイズムを引き起こす要因は、主に次の3つに分類されます。

1.「運動器・感覚器障害」(肩こり・頭痛・疲れ目など)

2.「メンタルヘルスの不調」(不安感・ストレスなど)

3.「生活習慣及び感染症・アレルギー」(睡眠不足・風邪・アレルギー症状など)

誰にでも起こり得るこれらの症状を未然に予防し、改善できる環境が整えば、業務の生産性向上、そして業績向上にも期待が持てるのではないでしょうか。

健康経営オフィスとは?

生産性を上げる取り組みに「健康経営オフィス」という考え方があります。 これは経済産業省より出された「健康経営オフィスレポート」(以下、レポート)で提唱されている概念で、健康を保持・増進する行動を誘発することで、働く人の心身の調和と活力の向上を図り、ひとりひとりがパフォーマンスを最大限に発揮できる場のことです。

参照:経済産業省:「健康経営オフィスレポート」

健康経営に向けてどのようなオフィスにするか

健康経営オフィスとは? 経営者ができる7つのこと

レポートでは、健康の保持促進のために、日常的に「7つの行動」を促すオフィス環境を構築することが重要だとされています。 では、具体的に何をどのようにしたらよいのでしょうか。

健康経営オフィスを実現する「7つの行動」とは、具体的に下記を示します。

1.快適性を感じる
姿勢を正す、音・光・香り・触感・空気などを快適と感じる環境をつくるなど

2.コミュニケーションする
笑う、挨拶、会話、共同作業をするなど

3.休憩・気分転換する
飲食、仮眠をとる、新聞を読む、音楽を聴く、整理整頓をする、マッサージを受けるなど

4.体を動かす
ウォーキング、ストレッチ、 階段の利用を心がける、健康器具を利用するなど

5.適切な食行動をとる
昼食・間食の摂り方を工夫するなど

6.清潔にする
手洗い・うがいをする、オフィスを掃除する、分煙するなど

7.健康意識を高める
健康診断、健康情報を定期的に見るなど

参照:経済産業省:「健康経営オフィスレポート」

事例とその効果の紹介

レポートによると、この「7つの行動」を意識して健康経営オフィスを導入している企業では、プレゼンティーズムやアブセンティーズム(病気による欠勤)の解消に繋がっていることも報告されています。

他社の取り組み

では、実際に、健康経営オフィスを導入している企業ではどのような取り組みがされているのでしょうか。

・株式会社パソナグループ

「オフィス内の自然」(→上記「1.快適性を感じる」に該当) 植栽を配置したり、田や畑を設けて果物や野菜、花、ハーブを育てたりするなど、従業員が植物に触れ、育て、香りを楽しめる環境を提供している。 (効果)従業員がリラックスし、ストレス緩和に繋がっている。

・伊那食品工業株式会社

「敷地の清掃活動」(→上記「2.コミュニケーションする」に該当) 敷地内の清掃活動に従業員が自主的に参加をすることで、コミュニケーションが活発に行われている。 (効果)従業員や地域住民など、社内外の良好な人間関係の構築に繋がる。

・アマゾンジャパン株式会社

「健康メニューを提供する食堂」(→上記「5.適切な食行動をとる」に該当) 化学調味料や農薬の少ない食材を用いた食事を提供するとともに、月に1回野菜の販売等も行う。 (効果)私生活を含めた従業員の食生活改善に貢献。

企業も従業員も共にいきいきする健康経営オフィスの実現を目指し、まずは、様々な企業の導入事例などを参考にしてみてはいかがでしょうか。

経営者に向けて

健康経営オフィスとは? 経営者ができる7つのこと

健康経営オフィスを取り入れることは、企業にとっても従業員にとっても、大きなメリットであることが分かりました。 また、この取り組みは、働き手の減少が進む日本において、従業員ひとりひとりの生産性を高めるだけでなく、優秀な人材を確保し、定着してもらう上でも非常に効果的です。 企業の経営者は、企業が成長していく上で、従業員がいきいきと働けるオフィス環境づくりを戦略的に目指すことが必要といえるでしょう。

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健健康経営オフィス導入に向けて、まずは従業員の健康づくりを一緒に考えてみませんか?

従業員の健康管理についてお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談くださいね。

<参照元>
厚生労働省保険局「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」
経済産業省「健康経営オフィスレポート」
総務省「平成24年版 情報通信白書」
東京大学政策ビジョン研究センター健康経営研究ユニット「健康経営評価指標の策定・活用事業成果報告書」