法定外福利費の項目別内訳のデータ

法定外福利費の項目別内訳のデータ

法定外福利費とは、何でしょうか。

前回の記事でも書きましたが、まずは法定外福利費について説明していきます。法定外福利費をまとめると、下記のような形です。

  • 「福利厚生費」とは、企業から従業員へ支給する非金銭的報酬の費用を指す
  • ただし、通常の賃金・給与とは別で支払われる報酬である
  • 福利厚生費の内訳に、「法定福利費」と「法定外福利費」が存在する
  • 「法定福利費」とは、法律等で決められた会社が費用負担しなければならない福利厚生費である
  • 「法定外福利費」とは、会社が任意で提供する福利厚生費である

では、具体的に法定外福利費を見てみましょう。

法定外福利費の項目

  • 住宅関連(住宅、持家援助)
  • 医療・健康(医療・保健衛生施設運営)
  • ライフサポート(給食、育児関連、ファミリーサポート)
  • 慶弔関係
  • 文化・体育・レクリエーション
  • 共済会

先述した通り、「法定福利費」は法律等で決められた費用であるため、会社によって違いはありません。更には、具体的な金額まで決まっており、従業員であれば平等に受給できる費用と言えます。ですが、「法定外福利費」は各会社の任意となっています。A会社であれば住宅手当が出るが、B会社であれば出ない。または、出るけれどもA会社より5万円も少ない。このような現象が発生します。

一般的には資金が潤沢な企業だと、充実した福利厚生が受給できる傾向です。ただし、近年の日本企業ではコストカット意識が高まっている中、法定外福利費も縮小させる企業も出てきています。

2017年のデータ

では、会社によって有無が分かれる法定外福利費ですが、法定外福利費を項目別に見た場合、どの項目が多く支給されているのでしょうか。下記のデータは、2018年12月に経団連が発表した「福利厚生費調査結果報告書」の一部になります。会社が採用している法定外福利費を金額ベースで集計し、項目別に構成比を算出した結果です。

出典:経団連:第62回 福利厚生費調査結果報告(2018-12-19)

調査結果を見ると、”住宅関連”の費用が一番多いことが分かります。次に、”ライフサポート”と続き、”医療・健康”、”文化・体育・レクリエーション”と続きます。では、各項目の具体的な内容を確認していきましょう。

出典:経団連:第62回 福利厚生費調査結果報告(2018-12-19)

1. 住宅関連

住宅関連の構成比48.8%の内訳を見てみると、「住宅」が46.3%、「持家援助」が2.4%となっています。「住宅」とは、社有社宅や独身寮などを指し、「住宅」の支給額が圧倒的に大きいことが分かります。

2. 医療・健康

医療・健康の構成比11.9%の内訳を見ると、「医療・保健衛生施設運営」が7.8%、「ヘルスケアサポート」が4.2%となっています。「医療・保健衛生施設運営」とは、病院や診療所等の施設経費などを指し、「ヘルスケアサポート」とは、従業員の通院や健康増進に関する費用を指します。

3. ライフサポート

ライフサポートの構成比23.9%の内訳を見てみると、「給食」が6.7%、「保険」が4.9%、「財産形成」が4.0%と続きます。ライフサポートは他項目と比較すると、具体的な内容の種類が多く、聞いたことがある内容が多いのではないでしょうか。

4. 文化・体育・レクリエーション

文化・体育・レクリエーションの構成比7.6%の内訳を見てみると、「施設・運営」が3.0%、「活動への補助」が4.5%です「施設・運営」とは、保養所などの自社保有施設などを指し、「活動への補助」とは、職場の親睦活動などへの補助を指しています。

法定外福利費の項目別内訳データをご覧いただき、いかがでしたでしょうか。調査結果より読み取れたことは、「住宅関連」が法定外福利費の項目の中で一番大きいということです。特に「住宅」の費用が突出していました。この突出には2つの背景があります。

  • 社有社宅や独身寮などの費用は、固定的かつ継続的に発生する
  • その社有社宅や独身寮はバブル景気に建設したモノも多く、現在もなお利用している

このように「住宅」の費用が突出している原因にも時代背景があります。近年では、建物といったハード面の福利厚生ではなく、サービスのようなソフト面の福利厚生へ移行してきています。特に、「育児関連」や「ヘルスケアサポート」といった福利厚生サービスにニーズが高まってきています。

人事担当者の方は、これを機に自社の法定外福利費がどのような内訳になっているか、そして福利厚生サービスについて従業員の満足度を確認してみてはいかがでしょうか。過去の踏襲ではなく、現在に合った福利厚生サービスの提供が必要になることは間違いありません。