福利厚生費の項目内訳から読み取る社会背景

福利厚生費の項目内訳から読み取る社会背景

2017 年度福利厚生費等の項目別内訳(従業員1人1ヵ月当たり、全産業平均)

項 目 金 額(円) 対前年度増減率(%)
現金給与総額 558,532 △ 1.3
福利厚生費 108,335 △ 3.1
法定福利費 84,884 △ 2.0
健康保険・介護保険 31,119 △ 1.7
厚生年金保険 47,375 △ 1.4
雇用保険・労災保険 5,123 △ 12.7
子ども・子育て拠出金 1,182 13.5
その他 84 133.3
法定外福利費 (大項目) (小項目) 23,452 △ 7.0
住宅関連 11,436 △ 7.4
住宅 10,867 △ 7.7
持家援助 569 △ 0.5
医療・健康 2,802 △ 10.8
医療・保健衛生施設運営 1,826 △ 13.8
ヘルスケアサポート 976 △ 4.6
ライフサポート 5,606 △ 6.0
給食 1,571 △ 12.1
購買・ショッピング 236 3.1
被服 486 △ 1.0
保険 1,144 △ 1.3
介護 25 0
育児関連 409 11.1
ファミリーサポート 241 △ 4.0
財産形成 930 △ 7.4
通勤バス・駐車場 435 △ 15.2
その他 129 △ 6.5
慶弔関係 595 △ 3.4
慶弔金 526 △ 6.9
法定超付加給付 69 35.3
文化・体育・レクリエーション 1,774 △ 10.8
施設・運営 711 △ 9.5
活動への補助 1,063 △ 11.6
共済会 264 6.9
福利厚生代行サービス費 316 △ 0.6
その他 659 10.9
通勤手当、通勤費 9,030 △ 0.1
退職金 46,125 △ 12.8
退職一時金 19,501 △ 15.4
退職年金 26,624 △ 10.8

(参考)
カフェテリアプラン消化ポイント総額 4,842円

参照元:一般社団法人日本経済団体連合会「第62回 福利厚生費調査結果報告 2017年度(2017年4月〜2018年3月) 」

社会・経済環境の変化や従業員のニーズの多様化に伴い、企業の福利厚生に求められる役割も変化してきています。今、「福利厚生費」の現状はどうなっているのでしょうか?

1人1ヶ月あたりの福利厚生費

上図の日本経団連による福利厚生費調査によると、2017年度に企業が負担した従業員1人1ヶ月あたりの福利厚生費は108,355円(前年比3.1%減)となりました。 また、福利厚生費のうち、企業拠出分である「法定福利費」は84,884円と8割を占め、企業が任意で行う「法定外福利費」は減少傾向が続き23,452円という内訳となっています。

法定福利費は減少傾向にあるが福利厚生費全体の8割を占める

福利厚生費全体の8割を占め、大きな負担となっている法定福利費。減少傾向にある中でも、「雇用保険・労災保険」は前年比12.7%減と大きく減少しています。これは、2017年度の雇用保険料率が引き下げられたためです。

法定外福利費の約半分を占める住宅関連割合

法定外福利費の中でも一番多いのが、家賃や持家のローン返済の一部を企業が援助する「住宅関連」で11,436円と、約半分を占めています。従業員への住宅施策の見直しや企業が保有する老朽化した社宅閉鎖などを背景に、2000年度以降年々減少傾向にあります。

次に多いのが、給食や保険、財産形成、介護、育児、ファミリーサポートなどからなる「ライフサポート」で5,606円。多くの項目が前年より減少している中、育児関連が前年比11.1%増と増加傾向にあり、企業が子育て支援策を充実させていることが読み取れます。

福利厚生の再構築に向けて

現状の自社の福利厚生が、従業員のニーズにかなっているのか、効果的な運用がなされているのか、そして、企業の経営方針や実際の事業との関係で成り立っているのか?戦略的な視点で見直し、再構築していくことが今後の大きな課題となるでしょう。

<参考文献>
・一般社団法人日本経済団体連合会「第62回 福利厚生費調査結果報告 2017年度(2017年4月〜2018年3月) 」