これからの企業が導入すべき福利厚生制度とは

これからの企業が導入すべき福利厚生制度とは

女性のライフステージに合わせた福利厚生制度の必要性とは

人事担当者の多くが、『人材の定着』に関する課題に直面しています。

  • 優秀な人材が辞めてしまった
  • 突然、社員が辞めると言い出した
  • 事務員さんが次々に辞めてしまった

人材流出、それは多くの企業が抱えている悩みです。企業が成長していくためには、優秀な人材を確保すること、そしてその人材を定着させていくことの両面が必要となってきていました。男性社会だった職業でも女性が進出していくなど、これからの日本社会は女性の社会進出がより増加していく流れです。

そこで今回は、ターゲットを女性社員に絞り、ライフステージの変化により働き続けることが難しい背景や流出防止の必要性、そして離職防止策をご紹介していきます。

人材流出防止の重要性について

経済産業省によれば、2050年には日本の人口は約1億人まで減少すると言われています。人口が減少するということは、もちろん労働人口も減少する見込みです。当たり前の話ですが、どの企業にとっても人材は非常に重要となります。なぜなら、もし人が存在しなくなれば、会社は経営困難に陥るからです。にもかかわらず、人事担当者の多くが人材流出の理由を把握しきれていないのが現状です。

では、今回、初職の離職を決意する社員の理由について見ていきたいと思います。下記のデータは内閣府の調査です。

出典:内閣府:特集 就労等に関する若者の意識

この調査は、”就労等に関する若者の意識に関する調査”です。全国の16歳から29歳までの男女(有効回答数10,000)を対象にしたアンケート調査でした。この調査で注目すべき点は、初職を離職する上で最も重要な理由として、『結婚、子育て』が上位4番目に入っていることです。若者にとって『結婚、子育て』に対する重要性の高さを知ることができます。また、下記は厚生労働省のデータになります。

*1 「制度あり」「制度なし」とは、本人の就業形態で利用可能な制度等があるかどうかをいう

出典:厚生労働省:第7回 21 世紀成年者縦断調査(平成 24 年成年者)の概況

このデータは、”男女の結婚、出産、就業等の実態及び意識を継続的に調査したデータ”です。このデータの中で、「会社等に勤めている独身女性の『結婚後の就業継続意欲』」に関するアンケートを実施しました。

アンケート結果を見てみると、育児休業制度がある場合、『結婚を機にやめる』と回答した割合が11.8%。育児休業制度がない場合、『結婚を機にやめる』と回答した割合が26.1%でした。この差は、約15ポイントとなります。こういった育児休業制度などの導入は、女性にとって就業していく上で大事なポイントであり、就業継続意欲に繋がるのではないでしょうか。

女性にとって、ライフイベントである結婚・出産・育児等は、非常に重要な時期です。にもかかわらず、福利厚生制度のような企業側のフォローが少ない場合、女性社員の流出に繋がっている可能性があります。もちろん、離職の理由は人によって様々ではありますが、目前の明確な課題に取り組むことこそが人材流出防止の第一歩であると考えます。

各企業の取り組みについて

女性社員の離職防止のために、福利厚生制度が有効であることは理解できましたが、実際の企業の取り組みはどういった現状なのでしょうか。下記のデータを参照ください。

出典:(公財)生命保険文化センター:平成14年度 企業の福利厚生制度に関する調査

こちらのデータは、公益財団法人 生命保険文化センターが実施した『企業の福利厚生制度に関する調査』です。結果をみると、『育児補助・ベビーシッター補助』や『託児所・保育施設』はポイントが低く、1%前後の企業しか導入していないことが分かります。この調査結果から読み取れることは、出産・育児に関する福利厚生制度を導入している企業は相対的に少ないということです。

では、先駆的に出産・育児に関する福利厚生制度を導入している企業は、どういった制度を導入しているのでしょうか。 今回はサイバーエージェントの事例を見ていきましょう。

サイバーエージェントの取り組み

サイバーエージェントでは、”女性活躍促進制度 macalon”という独自の制度を導入しています。このmacalonとは「女性が出産・育児を経ても働き続けられる職場環境の向上を目指して8つの制度をパッケージ化した」ものです。具体的な制度を見ていきましょう。

エフ休

女性が月1回取得できる特別休暇です。女性ならではの体調不良を考慮し、通常の有給休暇も含め、女性社員が取得する休暇の呼び方を「エフ休」としています。名称を変更することにより、取得しづらさを排除しています。

妊活休暇

不妊治療の女性社員が取得できる特別休暇です。月1回取得可能で、治療や通院等を目的に取得可能となっています。こちらも「エフ休」と言葉で取得可能で、周囲に知られることなく取得が可能となります。

認可外保育園補助

認可保育園や認証保育園に入れず、仕事復帰ができない女性社員を対象にした制度です。会社が認可外保育園料を一部負担し、仕事復帰を促進します。

その他にも『キッズ在宅、キッズデイ休暇、妊活コンシェル、おちか区ランチ、ママ報』があります。

ライフステージに合わせた福利厚生制度

社会情勢が目まぐるしく変わり、人口減少や労働人口の減少が危ぶまれる中、人材リソースはより一層、注目を浴びています。だからこそ、企業にとっても人材流出防止は、非常に重要な課題です。多大なコストを投下し、育成してきた人材が他企業へ流出することは、企業にとって大きな損失となります。

それは、男性社員だけでなく女性社員でも同じです。男女雇用機会均等法も進む中、社会的な制度から見れば男女の垣根はなくなってきていますが、企業制度は未だ課題があります。サイバーエージェントの先駆的な事例のような、女性のライフステージに合わせた福利厚生制度が今後、必要になってくるのではないでしょうか。