企業規模別の法定福利費のデータ

企業規模別の法定福利費のデータ

法定福利費とは、何でしょうか。

法定福利費の話をするためには、まずは「福利厚生」について知る必要があります。「福利厚生」とは、企業が従業員に対して通常の賃金・給与にプラスして支給する非金銭報酬のことをいいます。そして、そのための費用のひとつが、法定福利費と呼ばれています。

「福利厚生」は、法律により実施が義務付けられる法定福利厚生と、企業が独自に定める法定外福利厚生とに大別されます。それでは、「法定福利費」の内訳を見てみましょう。

法定福利費の項目

  • 健康保険・介護保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険・労災保険
  • 子供子育て拠出金

さて、皆さんも就職活動時に各企業の福利厚生制度について、チェックをした方もいらっしゃるのではないでしょうか。制度の充実度合いは会社によってさまざまです。一般的に法定外福利費は、予算の潤沢な大企業のほうが充実した福利厚生が用意されている傾向にありますが、実施が義務付けられている法定福利費については企業規模別にどのような差があるのでしょうか。

2017年の法定福利費の動向

一般社団法人日本経済団体連合会の調査によると、法定福利費は全産業平均で 84,884 円 となり、前年度に比べて 2.0%減少したという結果が出ています。

項目 金額 対前年度比
福利厚生費 108,335円 -3.1%
法定福利費 84,884円 -2.0%
法定外福利費 23,452円 -7.0%

出典:経団連:第62回 福利厚生費調査結果報告(2018-12-19)

これを規模別でみると、以下のような状況になります。

企業規模別の法定福利費
規模計 500人未満 500
〜999人
1,000
〜2,999人
3,000
〜4,999人
5,000人以上
法定福利費
84,884円
(-2.0%)
75,761円
(+3.8%)
73,093円
(-1.2%)
80,388円
(-1.5%)
86,816円
(-0.7%)
85,929円
(-2.6%)

上段:従業員1人1ヶ月当たり額
下段:対前年度比

出典:経団連:第62回 福利厚生費調査結果報告(2018-12-19)

すべての規模の企業において法定福利費の総計が7万円を上回っていますが、前年比で見ると500人以上の規模の企業は前年割れしています。この現象の要因としては、雇用保険料率の引き下げなどが挙げられます。

一方で、景気状況と比較して法定福利費について見てみましょう。内閣府は、2016年から2017年の日本経済の動向について、下記のように述べています。

雇用・所得環境の改善にみられるように好循環が広がりつつある中で、2016 年前半の新興国経済等の海外経済の弱さや資源価格の低下等の動きが一服したこと等により、企業の業況観も改善をみせ、生産面を中心に緩やかな 回復基調が続いている。しかし、企業の設備投資や個人消費といった支出面への波及 はまだ十分ではない。

つまり、景気が回復傾向であるにもかかわらず、企業は法定福利費の支出を減少させています。

そもそも「福利厚生」の目的とは、従業員の経済的保障を手厚くすることにより、従業員の組織貢献度を高めることや、勤労意欲や能率の向上を図るといった狙いがありました。他にも離職率の低下や労働力の定着を図るほか、採用活動でも福利厚生の内容は注目されます。しかし、このように景気が回復しても「福利厚生」にかける金額が減少していく傾向は強くなるかもしれません。

こんな時代の流れだからこそ、福利厚生にかける姿勢を変えることで他企業との差をつけることが出来るかもしれません。