健康経営関連の総コストから見る業務能率低下の要因とは

健康関連総コストから見る業務能率低下の要因とは

業務の能率が落ちている状態「プレゼンティーイズム」

皆さんは、体調が優れない中で無理して出勤し、仕事のパフォーマンスが上がらなかった経験はありませんか?

実は、これらの症状こそ、「プレゼンティーイズム」といわれ、企業の損失の大きな要因として注目されています。プレゼンティーイズムとは、従業員が職場に出勤してはいるものの、心身の不調により業務の能率が落ちている状態のことで、WHO(世界保険機関)によって提唱されている概念です。一方で、病気や体調不良などで欠勤・休職することを「アブセンティーイズム」といいます。

東京大学政策ビジョン研究センター健康経営研究ユニット「健康経営評価指標の策定・活用事業成果報告書」によると、健康関連の最大のコスト要因は、77.9%を占めるプレゼンティーイズムによる損失であり、医療費の約5倍となる数値であることが分かります。

「プレゼンティーイズム」による損失を抑える健康経営の取り組み

では、この損失を少しでも抑えるために、企業は従業員にどのようなサポートができるでしょうか?

プレゼンティーイズムを引き起こす要因は、主に次の3つに分類されます。

1. 「運動器・感覚器障害」(肩こり・頭痛・疲れ目など)
2. 「メンタルヘルスの不調」(不安感・ストレスなど)
3. 「生活習慣及び感染症・アレルギー」(睡眠不足・風邪・アレルギー症状など)

そして、これらを改善する手段として、企業が経営戦略の一環として従業員の健康管理に関わっていく「健康経営」への取り組みが広がっています。

まずは、あなたの会社の従業員がいきいきと働けているか?そうでないようならば、何が原因となっているのか?健康と労働パフォーマンスに関する質問票(WHO/HPQ)なども用いながら、従業員へ目を向けることから始めてみてはいかがでしょうか。

<参考文献>
・東京大学政策ビジョン研究センター健康経営研究ユニット「健康経営評価指標の策定・活用事業成果報告書」
・厚生労働省保険局「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」
・経済産業省「健康経営オフィスレポート」
「健康経営」の枠組みに基づいた保険者・事業主のコラボヘルスによる健康課題の可視化
WHO/HPQ 健康と労働パフォーマンスに関する質問紙(短縮版)日本語版