企業規模別の法定外福利費のデータ
法定外福利費とは
法定外福利費の話をするためには、まずは「福利厚生」について知る必要があります。「福利厚生」とは、企業が従業員に対して通常の賃金・給与にプラスして支給する非金銭報酬のことをいいます。そして、そのための費用のひとつが、法定外福利費と呼ばれています。
法律により実施が義務付けられる法定福利厚生と、企業が独自に定める法定外福利厚生とに大別されます。法定福利費(法定福利厚生にかかる費用)については、過去の記事で紹介しています。ご参照ください。
それでは、「法定外福利費」の内訳を見てみましょう。
法定外福利費の項目
- 住宅関連(住宅、持家援助)
- 医療・健康(医療・保健衛生施設運営)
- ライフサポート(給食、育児関連、ファミリーサポート)
- 慶弔関係
- 文化・体育・レクリエーション
- 共済会
法定外福利厚生は、一般的に予算の潤沢な大企業に充実した福利厚生が用意されている傾向があります。しかし、現代の日本企業では経費削減のために内容が見直されたり、福利厚生サービスの専門企業へ切替えたりと状況が変化しています。
2017年の法定外福利費項目データ
規模計 | 500人未満 | 500 〜999人 |
1,000 〜2,999人 |
3,000 〜4,999人 |
5,000人以上 |
住宅関連 | |||||
---|---|---|---|---|---|
11,436円 (-7.4%) |
7,726円 (+5.3%) |
8,435円 (-4.4%) |
9,930円 (-0.3%) |
12,360円 (-10.0%) |
11,718円 (8.4%) |
医療・健康 | |||||
2,802円 (-10.8%) |
2,162円 (+4.0%) |
1,555円 (+2.5%) |
1,640円 (+5.3%) |
2,199円 (+0.2%) |
3,166円 (-14.5%) |
ライフサポート | |||||
5,606円 (-6.0%) |
4,646円 (+20.1%) |
3,965円 (+8.6%) |
4,293円 (-7.6%) |
5,498円 (-7.0%) |
5,932円 (-6.7%) |
慶弔関係 | |||||
595円 (-3.4%) |
748円 (-2.7%) |
670円 (-1.5%) |
749円 (+4.5%) |
770円 (+14.6%) |
532円 (-8.6%) |
文化・体育・レクリエーション | |||||
1,774円 (-10.8%) |
1,531円 (+50.8%) |
710円 (-3.8%) |
1,012円 (-6.6%) |
2.036円 (+1.1%) |
1,907円 (-14.3%) |
共済会 | |||||
264円 (+6.9%) |
213円 (-14.1%) |
141円 (-9.0%) |
217円 (-12.1%) |
331円 (+9.2%) |
266円 (+10.4%) |
福利厚生代行 | |||||
316円 (-0.6%) |
117円 (-38.4%) |
166円 (-15.3%) |
206円 (-7.6%) |
310円 (+5.8%) |
345円 (-0.9%) |
その他 | |||||
659円 (+10.9%) |
733円 (-1.3%) |
138円 (-50.7%) |
441円 (+7.6%) |
157円 (-13.3%) |
799円 (+12.1%) |
上段:従業員1人1ヶ月当たり額
下段:対前年度比
出典:経団連:第62回 福利厚生費調査結果報告(2018-12-19)
調査結果によると、従業員1人1ヵ月当たりの法定外福利費は、全産業平均で 23,452 円となり、前年度比 7.0%減(1,765円)と大幅な減少となっています。また、項目別の動向では「住宅関連」が、前年度比 7.4%減少しています。内訳をみると、独身寮や社宅の管理・運営費用である「住宅」が前年度比 7.7%減少しています。
更に2000年度以降より、各企業で従業員への住宅施策の在り方の見直しや自社保有の老朽化した社宅の閉鎖等が行われてきました。この傾向から見ても、法定外福利費の約半分を占める「住宅」は法定外福利費の中でも見直しの対象となりやすいのではないでしょうか。
他にも金額が減少している項目をいくつかご紹介します。
- 「医療・健康」・・・前年度比10.8%減少
- 「ライフサポート」・・・前年度比6.0%減少
- 「文化・体育・レクリエーション」・・・前年度比10.8%減少
このように減少している項目がある一方で、増加項目もあります。それは、「育児関連」の項目です。「育児関連」は 409 円(同 11.1%増)と 大幅に増えています。
しかしながら、調査結果から、「福利厚生」にかける金額が全体的に減少傾向にあると読み取れます。この減少傾向の中で、「育児関連」にかかる費用が増加傾向にあるということは、2016年4月より施行した女性活躍推進法と時期は重なることもあり、女性の活躍を推進させる国の政策が影響しているのかもしれません。
企業においては、より女性の社会進出を推進するような育児関連の制度を更に充実させるだけでなく、今までのように手厚い福利厚生制度にしていくことが実現できれば、より一層、他企業との差をつけることが出来るのではないでしょうか。